坂口安吾デジタルミュージアム

HOME

安吾賞

10月6日に「安吾賞」の受賞発表会がホテルニューオータニ東京で行われた。
受賞者は演劇人の野田秀樹氏(50)。

野田秀樹氏受賞発表会は二部構成で行われ、第一部の発表会は13:30からスタート。
まず始めに新潟市長篠田昭氏のご挨拶、選考委員長野田一夫氏のご挨拶の後、受賞者の野田氏が登壇し、インタビューが行われた。

インターネットなどでは、今回の受賞理由が「野田さんが自分は坂口安吾の生まれ変わりと公言してはばからないため」、「あげる意欲ともらう意欲が一致しないといけない」というような内容で多く紹介されており、実際の発表会当日でも、野田氏のプロフィールに載っている坂口安吾永眠から野田氏誕生までのエピソードが紹介されるなどして、笑いを誘った。

しかし、インタビューではそれだけでなく、野田氏が実際には人気絶頂中だったときに、名声にクルリと背を向け「夢の遊眠社」を解散し、演劇の本場ロンドンへ挑戦したこと。
一度は酷評に挫かれながらも、持ち前の反骨精神と挑戦心(野田氏が、打たれ強さと天邪鬼、とも称していたもの)で、「NODA・MAP」を旗揚げし再挑戦したこと(ちなみに、昨年にはイギリスの専門誌から「まっすぐ劇場に向かうべし」と評価を受け完全に評価は回復)などにも話しが及んだ。

また、そんな野田秀樹氏が坂口安吾と出会ったのは学生時代だったという。
当時学校に行かず、夜演劇の稽古などを行っていた野田氏は、学校に行かないのだからせめて昼間は読書をしよう、ということで兄の本棚の本を端から読んでいった。
その中にあったのが、坂口安吾の著書である(1970年代当時、角川文庫から刊行されているのは、『堕落論』『白痴・二流の人』『不連続殺人事件』であったので、このどれかであろう)。

その後、質疑応答を終えて、発表会の第一部が終了。

第二部では坂口安吾の長男、坂口綱男氏が洒落のきいた乾杯の挨拶をし、選考委員の方々の挨拶などを挟みながら、歓談が続き終了した。

文学賞でない「安吾賞」。
「世俗の権威にとらわれずに本質を提示し反骨と飽くなき挑戦者魂の安吾精神を発揮する現代の安吾」と宣言文で掲げられているように、生き様自体が選考基準となるこの「生き様賞」は、坂口綱男氏が「できることならアウトサイドで見守っていたかった」というくらい、選考が難しく注目の集まった賞であった。

だが、今回野田氏の受賞を契機として何かが指針として決まり、静かに何かが動き出したのは確かである。
これから、第2回、3回と数を重ねる毎にまったく新しい世界と安吾とが結びつき、突拍子の無い形でただ「坂口安吾」というキーワードのみで誰かと出会える機会が増えたら、とっても素敵な事に違いない。

実際の授賞式は、15日に安吾生誕の地新潟で行われる。