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「我鬼」

 流行作家になった直後の衝撃作。文庫版全集にもそのタイトルが見えない幻の短篇だが、実は多くの人が知らぬ間に読んでいる。黒田如水の一生を描いた中篇「二流の人」改訂版に「我鬼」全文が組み込まれているからだ。以降、「二流の人」はこれが決定版のように扱われ、同時に「我鬼」は短篇としての命を失った。

 しかし、そのように発案したのは本当に安吾自身だったろうか?

「我鬼」は、太閤秀吉と関白秀次の愛憎と狂気を、贅肉をそぎ落としたハードボイルド・タッチで描いている。実子秀頼が生まれ、甥の秀次を関白の座から追い落としたい秀吉。秀吉を軽蔑しつつ恐れ、権力への妄執にとりつかれた秀次。その秀次の殺戮衝動が凄まじい。妊婦の腹を生きたまま裂く。命乞いをする者の腕を次々に斬り落として「まだ、助かりたいか」とわらう。読んでいて心が凍りつく。

 最晩年の「狂人遺書」と内容的に重なるが、破壊力はこちらが上だ。文章も緊迫感に満ち、短篇として独立させてこそ光るものだろう。

 空襲の頃に書き上げられたという「二流の人」初版には、秀次の悪行や野望についての記述は全くない。主役は如水なのだから、それが当然でもあった。そこに、如水が登場しない秀吉・秀次の長大な一節が加わることによって、全体の構成バランスは崩れ、テーマも分裂を来たしている。「二流の人」も心理のかけひきに巧緻をきわめた名作だが、「我鬼」の激しさにはなじまないのだ。

 なお、タイトルは芥川龍之介の俳号に由来し、菊池寛はこの語に「エゴイスティック・デモン」とルビをふった。

 
(七北数人)
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