坂口安吾デジタルミュージアム
  坂口安吾デジタルミュージアム HOME  
introductionPhoto introduction
坂口安吾ってどんな人?
あなたにおすすめの作品
 
ArchivesPhoto Archives
作品データベース
年譜
その他のデータ
NiigataPhoto # Niigata
# 新潟安吾観光MAP
# 安吾賞 松之山情報
# 新潟でのイベント
 
安吾コミュニティ
コラム ブログ
作品紹介 遺品紹介
安吾リンク集
 
 
作品紹介
 
「梟雄」

 梟雄――残忍で荒々しい悪漢。本作の主人公斎藤道三は、松永弾正とともに戦国の二大梟雄といわれた。
 長篇「信長」の新聞連載予告の文章で、安吾はこの二人だけが信長の「親友的存在の全部」だったと紹介している。これにさかのぼること4年前の未完短篇「織田信長」でも、信長と道三・弾正との奇妙な友情が中心主題になっていた。この時は特に、壮年期の信長と弾正との関係に比重が置かれていた。

 満を持して書き出された長篇「信長」は、だから「美濃の古蝮」という小見出しで幕を開ける。道三のことだ。そして長篇のほぼ半分は、道三とのかかわりで展開するのである。

 しかし信長がメインだと、どうしても道三の悪逆ぶりにページを割くのが難しい。信長に対してだけ一匹狼同士、理屈ぬきの信頼をあらわす様子はたっぷり描かれているが、その道三がいかにして出来たかがわからない。「信長」連載終了から程なく「梟雄」が書かれたのは、そんな不満を解消するためでもあったろう。

 周囲すべてを敵とみなす孤絶の悪漢である点は長篇と変わりない。ただ、長篇では比較的饒舌で人間くさく味つけされていたのに比べて、本作での道三は非常にクールだ。短篇ならではでもあろうが無口で、ハードボイルドな渋みと怖さがある。

 謀反・裏切り・惨殺の限りを尽くしてのし上がっていく、まるで共感の余地もないような悪党が、どんどん魅力的に映ってくる。頭の冴え。機を見、人を見る目のカンのよさ。そして何より、信長と同じ悪魔の血が流れている。いつでも捨て身。いつ死んでもいい。安吾の愛するホンモノの悪党、悪魔とはそういう者だった。

 息子義龍に追いつめられて、笑って死んでいく道三の死にっぷりが見事だ。
「今日は戦争をしないのだから、オレは負けやしないぜ。ただ死ぬだけだ」
 長篇にはなかったこのセリフ一つで、「梟雄」は独立した輝きを放つ。
 
(七北数人)
Copyright (c) 2005-(財)新潟市芸術文化振興財団. All rights reserved. このサイトについて 個人情報保護方針 ご利用規約 お問い合せ