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「長島の死」

二十代半ばで夭折した親友長島萃(アツム)を追悼して書かれたものだが、単なる追悼文にとどまらない一種異様な衝迫力がある。

「長島は私の精神史の中では極めて特異な重大な役割を持つてゐるので、私の生きる限りは私の中に亡びることがないのである」  並々ならぬ思い入れで語られる長島という人物は、語学の天才で、不可解な半狂人だった。度重なる自殺未遂。そのつど安吾のもとへ錯乱した遺書めいたものを送りつける。

 長島の心の中は安吾でいっぱいだった。いつも安吾を特別 視していた。自分のイノチ、自分の全存在を賭けて安吾と立ち向かい、ほかの誰とも交流をもとうとしなかった。

 宿命のライバル? そう言ってしまえばそうも言えるが、少し違う。  自分と通じるものをもつ得がたい友で、しかも自分より強く大きな存在。安吾のことを長島はそんなふうに感じていたのではないだろうか。それゆえの執着と羨望。尊敬。永遠に勝てない、という思い。極度のライバル心を持つ者は常に、心のどこかで、初めから負けているのだ。

 勝てないなら、どうするか。長島は危篤の床で、安吾に「死んでくれ」と言った。

「私が生きてゐては死にきれないと言ふのである。さうして死んだらきつと私を呼ぶと言つた」

 侵蝕――。長島が狙ったものに思いを馳せると、そんな言葉が浮かんでくる。長島も安吾も共に読んでいたというポオのシュールな短篇「ヴァルドマアル氏の病症の真相」のように、長島は死んで悪臭を放つ液体と化した後、安吾の身中へしみ入り、末梢神経にまで自分の根を張っていく。神経をむきだしにして生きた人間には、そんなイメージがよく似合う。

 短篇「蒼茫夢」「篠笹の陰の顔」「暗い青春」などにも、それぞれ少し角度を変えた長島のエピソードが記されている。

 
(七北数人)
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