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「直江山城守」

『安吾史譚』全7篇の真ん中に置かれた作品。『史譚』は歴史の謎にせまる論述主体の連作なので、はっきり「小説」に分類できるのは「柿本人麿」だけだが、小説的興趣はむしろ本作と次の「勝夢酔」のほうに強い。両作では謎解きよりも特異な人間性を浮き彫りすることに力点があるからだろう。他の5篇にない熱がこもり、精彩を放っている。

 それもそのはず。安吾はこの2人が大好きなのだ。
直江山城守(ヤマシロノカミ)兼続(カネツグ)は、「二流の人」にも登場した上杉家の参謀だが、本作での入れ込みようは生半可でない。

「その鋭さに於ては信長に通じ、快活なところでは秀吉に通じ、律儀温厚なところでは家康に通じ、チミツな頭とふてぶてしさでは三人に同時に通じていた。つまり三人の長所はみんな持っていた」

 大絶讃である。唯一、信長を脅かす存在になりえた武将、と安吾はみる。
 安吾の心が最も同期・親近するのは信長だろうが、その信長の目でみて、山城は人間的に理想なのだ。そのように生きてみたいと思わせる「なつかしさ」をもつ。でも、そうなれない、そういう存在。

 愚直で無欲な戦争マニアとして、安吾は山城のほかにその師の上杉謙信、弟子の真田幸村を挙げ、さらに現代のハリキリ将軍たちと比較する。同じようだが山城だけは、いわゆる策士でもチャンバラ好きでもなく「もッと本質的なものに打ちこむ男である」と言う。
 違いがうまく説明されているとは言い難い。けれども、どうしても違う。山城の心を「なつかしく」感じてしまったからには、違わなくてはならないのだ。挙げ句に「私は山城が一番好きである」とストレートに書いてしまう。このミもフタもなさがたまらなくいい。

 なお、元禄頃から奸臣と蔑まれてきた山城を、1910年という早い時期に賞揚した福本日南は安吾の父五峰の友人。五峰もまた1918年『北越詩話』の中で義憤をこめて山城を讃えていた。親子2代で山城復権に意を注いだ、と言えば安吾は嫌な顔をしそうだが――。

 

(七北数人)
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