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「エリック・サティ(コクトオの訳及び補註)」

『青い馬』創刊号に発表された翻訳+エッセイ。素人同人誌が岩波書店から新創刊されることになり、安吾はその創刊号に創作・エッセイ・翻訳など4篇を寄稿して気を吐いた。これはその1篇で「訳及び補註」とあるが、補註部分が半分以上を占める。

 若き安吾のめざす文学の方向性や心意気が、コクトーやサティに仮託して表現されているようだ。翻訳の部分も、すべてが安吾の主張そのものと感じられる。

「ひからびた胎児」とか「(一匹の犬のための)実にだらしのない序曲」など、人を食った標題曲でファルス精神を発揮したサティに、コクトーも安吾も讃辞を惜しまない。ワーグナーが音楽界を驚嘆させて後、誰もがワーグナーに追随し、そうでない音楽を認めなかった時代、反逆する者は落伍者で生涯をとおすほかなかった。

 過去も現在も、そしておそらく未来も、この状況が変わることはない。こうしたダメな批評家たちだけが権威を獲得し、のさばっていくのである。恐ろしいのは、批評家たちが現在流行の新精神を明日も明後日も新しいと思い込んでいることだ。

「技巧の進んだ時代に於ては、たゞ一つの矛盾が可能である。即ち簡潔」

 装飾の爛熟期をへてシンプルなものが現れる。あらゆる芸術運動に生じる必然の流れだが、最初の一歩には激しい独創が要る。

 サティのバレエ音楽「パラード(見世物小屋)」は、発表当時さんざん悪罵を浴びたらしいことなど、安吾が詳細な補註を加えている。これは台本をコクトーが書き、ピカソが美術・衣装を担当した豪華なコラボレーション作品だった。サティは音楽の中にタイプライターの打音やピストルの射撃音のほか、日常のさまざまな雑音や騒音を入れ込んだという。後年のミュジーク・コンクレート(ビートルズも「レボリューション9」で試みている)の先駆といえるだろう。

 サティの反逆精神には最大級の共感を示した安吾だが、ふだん聴く音楽としては、ドビュッシーやショパン、バロック時代のラモーなどのほうが好きだったらしい。蛇足ながら。

 
(七北数人)  
 
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