坂口安吾デジタルミュージアム
  坂口安吾デジタルミュージアム HOME  
introductionPhoto introduction
坂口安吾ってどんな人?
あなたにおすすめの作品
 
ArchivesPhoto Archives
作品データベース
年譜
その他のデータ
NiigataPhoto # Niigata
# 新潟安吾観光MAP
# 安吾賞 松之山情報
# 新潟でのイベント
 
安吾コミュニティ
コラム ブログ
作品紹介 遺品紹介
安吾リンク集
 
 
作品紹介
 
「二流の人」

 軍師官兵衛こと黒田如水の生きざまを描いた歴史小説。

 信長・秀吉・家康の三英傑に、その天才的軍略を高く買われた男だが、タイトルからも感じられるとおり、安吾はあまり如水を好いていないように見える。そのためか、ところどころで主人公は入れ替わり、如水は舞台裏へ引っ込んでしまう。

 では、なぜ彼を主役に据えたのか。今回読み直して、如水は鏡ではないのか、と思った。

 三英傑はもちろん、小西行長や石田三成、直江兼続らの生きざまには、「死の崖」で「絶対の孤独をみつめてイノチを賭ける詩人の魂」があったと作中で称賛される。如水にはそれがない。だから反映によって、ホンモノの武将たちの光が増す。そういう仕掛けだ。

 直江のように、はなから一番を狙わない人はまた別。いつも一番を狙っているのに永遠に二番の人には、二番にしかなりえない心的構造がある。天才ぶりを妬まれて「シマッタ」と思う心。洗礼を受けながらキリシタンになりきれぬ心。カメレオン型の策士でもフーシェみたいに徹底すれば別の道筋で君臨できるが、そうもなれない。

 もっとも歴史は年月を経れば経るほど、新史料の発見などで塗りかえられていく。遺訓に「人に媚びず、富貴を望まず」と書いた実物の如水は、いま大河ドラマでやってるような、むしろ義理固くて愚直な、直江に近いタイプの人間だったかもしれない。天下取りになど興味はなく、ひとえに世の中の平和安定だけを望んでいたのかもしれない。

 秀吉からの恩賞が極端に少なかったことなどから、人一倍、天下取りの野心をもっていたとする説が当時は主流だった。後世の俗伝も多々まじっているのだが、史料が少ない時代には俗伝から人間像を探るしか方法がない。その上で、安吾が「シマッタ」と常に思う如水像をつくりあげたのは、一つの「人間」の発見であった。

 俗人であるからこそ、心理のかけひきが面白い。歴史の転がる様を俗人の目で見ること——本作の眼目はそんなところにもあった。

(『二流の人』各版のなりたちと相違点については「我鬼」作品紹介を参照のこと)

 
(七北数人)  
 
Copyright (c) 2005-(財)新潟市芸術文化振興財団. All rights reserved. このサイトについて 個人情報保護方針 ご利用規約 お問い合せ