1951年3月より『文藝春秋』に連載している「安吾の新日本地理」取材のため、安吾は7月中旬飛騨高山へ取材に向かいます。この取材にはカメラマンを帯同しなかったのか、写真が残されていません。さらにぬかるんだ山道の途上、作成したノートまで落として紛失。安吾の取材の様子は、書かれた「飛騨高山の抹殺」および、『別冊文藝春秋』に掲載された「飛騨の顔」の文中から推測するしかありません。
古代史料において早くから飛騨の名が出てくるのに、重要記事が少ないことに安吾は疑問を感じ、飛騨の地で見聞し、探ろうとしたのです。日本書紀に語られる鬼神「両面宿儺(りょうめんすくな)」は、飛騨では親しみをもって、さまざまな形で祀られています。
作品や取材のために集められた資料、飛騨関係の書籍などから、取材の足跡を探り、安吾の考える飛騨の姿を紹介したいと思います。
期間
令和2年8月8日(土)から令和2年11月29日(日)まで
午前10時から午後4時
会場
旧市長公舎 安吾 風の館(新潟市中央区西大畑町5927番地9)
休館日:毎週月曜日・火曜日
観覧料
無料
おもな展示作品
- 坂口安吾自筆原稿 未定稿「飛騨・高山の抹殺/飛騨の顔」第一稿
- 坂口安吾自筆原稿 未定稿「飛騨・高山の抹殺」第二稿
- 取材メモ 手帳
- 取材資料 長野、高山 20万分の1地形図、高山市市勢要覧 ほか
- 『文藝春秋』第29巻第12号 「安吾の新日本地理-中部の巻 飛騨高山の抹殺」 新潟市立中央図書館所蔵
- 『別冊文藝春秋』第23号 「飛騨の顔」 新潟市立中央図書館所蔵
- 『新潮』第49巻第6号 「夜長姫と耳男」 新潟市立中央図書館所蔵
- 坂口安吾著 夜長姫と耳男 1953年 大日本雄弁会講談社
〔坂口安吾蔵書〕 - 飛騨風物記 上島善逸著 1929年 飛騨毎日新聞
- 飛騨を語る 瀧多賀男著 1940年 水明館
- 飛騨史料大綱 上巻 岡村利平著 1907年 飛騨史料編纂事務所
- ひだびと 昭和10年2/1~昭和19年4/1 飛騨考古土俗学会編 ほか