大井廣介(1919-1976)は、文芸評論家であり、異色の野球評論家として知られています。さらに「昭和10年代後半におけるもっとも良質な文芸雑誌」と称された『現代文学』を主宰したことも特筆すべきでしょう。
坂口安吾は1940年大晦日に浅草雷門で大井に会って同人に加わると、毎号のように小説やエッセイを発表し、座談会に参加しました。「文学のふるさと」「島原の乱雑記」(1941年)、「日本文化私観」(1942年)、「黒田如水」(1944年)などの作品を執筆し、同人仲間と愉快に過ごす中で、戦後の安吾の活躍は培われていたのです。
大井とは競輪事件がきっかけで絶交してしまいますが、生涯安吾の一番の理解者であり、友人であったといえます。このたびは、安吾宛の数多い手紙や、安吾に関する評論文などから、二人の交流を紹介します。
期間
平成29年4月1日(土)から平成29年7月23日(日)
午前9時から午後5時まで
会場
旧市長公舎「安吾 風の館」(新潟市中央区西大畑町5927番地9)
主な展示作品
■大井廣介 坂口安吾宛書簡 1949年9月~1951年10月
■田島莉茉子(大井廣介)著『野球殺人事件』 ベースボール・マガジン社新潟支社 所蔵
■坂口安吾著『炉辺夜話集』1941年 スタイル社出版部 著者署名本 ベースボール・マガジン社新潟支社 所蔵
■文芸同人誌『現代文学』
■月刊雑誌『ベースボール・マガジン』 ベースボール・マガジン社新潟支社 所蔵
■坂口安吾 税務署対策ノート、陳情書
■大井廣介 「戦時中の坂口」『文學界』 1955年 文藝春秋社 新潟市中央図書館 所蔵