今年将棋界は、中学生の藤井聡太氏が史上最年少でプロ棋士となり、その後の連勝記録が話題となりました。安吾は「私は将棋は知らない」としながら、1947 年から49 年まで、木村義雄をめぐる対戦の観戦記を書いています。対戦前後を含めて棋士それぞれの様子を観察し、その心理を推しはかっています。また将棋における勝負を、安吾の生きる文学の世界、日本の敗戦とも比較しています。
江戸時代では家元制度により名人が決められ、維新後推薦制となり、1935 年には実力によって名人を決める仕組みがつくられました。現在では5 クラスによるリーグ戦を行い、勝ち抜いたものが名人に挑戦できます。その後竜王戦も設けられましたが、名人位とそれを決める名人戦は今も権威と歴史を誇っています。
安吾の観戦記を通して、勝負師である棋士の心理から、将棋の世界とその面白さを感じていただきたいと思います。
期間
平成29年12月9日(土)から平成30年3月25日
午前9時から午後5時まで
会場
旧市長公舎 安吾 風の館(新潟市中央区西大畑町5927番地9)
主な展示作品
・坂口安吾自筆原稿 「勝負師」
・坂口安吾自筆原稿 「升田幸三陣屋事件について」 (未定稿)
・坂口安吾 「散る日本」取材メモ
・坂口安吾 「勝負師」観戦メモ
・初出誌
『木村、升田決戦譜 王将に迫る』
1948 年 神港夕刊新聞社 新潟市立中央図書館所蔵
・『群像』1947 年 新潟市立中央図書館所蔵(「散る日本」収録) 他
・坂口安吾蔵書
宮本武蔵著『五輪書』1942 年 岩波書店、樋口金信著『棋界の風雲児升田八段』1948 年 誠光社、木村義雄著『最新将棋必勝法』1949 年世界社、木村義雄著『勝負の世界』1951 年 六興出版社 他
・写真 第8 期名人戦 第5 局 木村義雄と塚田正夫 1949 年 5 月 他