「捕物帳」は、日本独自の探偵小説です。コナン・ドイルのシャーロックホームズに刺激されて、岡本綺堂(1872~1939)が著した「半七捕物帳」がそのはじまりといわれています。
捕物帳とは本来、江戸時代に町奉行所で作成された捕り物(罪人逮捕)の記録のことで、岡っ引き等からの報告をもとに、書き役が罪人と罪状を書き留めた帳面のことです。
安吾はこれまでの「捕物帳」とは一線を画した、”物語”の面白さと”推理”を組合せた探偵小説、という意で「安吾捕物帖」を執筆しました。時は明治20年頃、父が幕府の重臣で、洋行帰りのハイカラ探偵・結城新十郎が、維新で混迷する時代の中に起こる奇抜な事件を見事に解決します。そこに勝海舟や彼を崇拝する剣豪、さらに明治の官吏や政商などを登場させて、物語としても読者を楽しませています。
アガサ・クリスティやエラリー・クイーンを愛読していた安吾の、意欲的な短編探偵小説「明治開化安吾捕物帖」を紹介します。
期間
令和4年9月3日(土)から12月18日(日)
午前10時から午後4時まで
会場
旧市長公舎「安吾 風の館」(新潟市中央区西大畑町5927番地9)
休館日:毎週月曜日・火曜日(祝日または振替休日の場合は、その翌開館日)
観覧料
無料
主な展示作品
■坂口安吾自筆原稿(未定稿) 「第一巻 序文」
■坂口安吾自筆原稿(未定稿) 「その十二 愚妖」
■構想メモ 「その十八 踊る時計」
■メモ 「その七 石の下」
■初出誌「明治開化 安吾捕物 その一 舞踏会殺人事件」『小説新潮』1950年 新潟市立中央図書館所蔵
■初出誌「明治開化 安吾捕物 その七 石の下」『小説新潮』1951年 新潟市立中央図書館所蔵
■初版本『明治開化 安吾捕物帖』全3 1954年 日本出版共同株式会社
■NHKBS時代劇「新十郎探偵帖」ポスター、シナリオ、資料等
■坂口安吾蔵書 アガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、S・S・ヴァン・ダイン、江戸川乱歩、横溝正史 他